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「Nami:航海する人の腕時計」シリーズ

「Nami:航海する人の腕時計」シリーズ

潜水服や宇宙服のヘルメットのような真ん丸の半球型のかわいいレンズ、船の窓のような本体、地図から切り抜いた方位盤をイメージした文字盤、マストをイメージし手縫いで縫い上げた革ベルトをあわせ持つ、海に沈んだ世界に生きる「航海する人の腕時計」がコンセプトのシリーズ。
くるき亭始まって以来から続く「半球レンズの時計」の代表作です。

Planning :この時計の着想・企画・構想

「宇宙」をテーマにした時計と、「海」をテーマにした時計を交互に

「宇宙」をテーマにした時計と、「海」をテーマにした時計を交互に

半球レンズの時計」というのは、「時計をデザインする」ということになった場合、誰でも思いつくような一般的なアイデアだと思います。

くるき亭でも、創業から2作目辺りには取り掛かっていたと思いますし、それ自体は特に特別なアイデアでも何でもないと思います。

そして、半球レンズのものを作ろうと思い浮かべる場合、「宇宙服のヘルメット」か「潜水服のヘルメット」のどちらかを想起することが多いかなと思います。

くるき亭でも、例外ではなく、「宇宙」をテーマにした時計と、「」をテーマにした時計を「交互に作る」というような時期が続きました。
この「Nami」という時計を作ろうと思った時は、ちょうど「」をテーマにした時計の順番で、「そろそろ新しい半球レンズの時計を作ろうかな」という時期でした。

今回は「船」をテーマに。コンセプトを考えることに。

今回は「船」をテーマに。コンセプトを考えることに。

」をテーマというのは決まり、前回の「海」テーマで「潜水服」をテーマにした時計を作ったということもあり、今回は「」をテーマにすることになりました。

くるき亭のデザイナーが、あるテーマパークに行った時、そこにあった「船室の窓や船のカタチなどがいいなあ〜」と感じて、「これを参考に時計をデザインしたら、どうかな・・・」と思い、スケッチし、ラフなデザインをしていたものがあったので、それをベースにデザインを考えていくことになりました。

とはいえ、カタチだけを考えると行き詰まったり、着ける人不在のモノを作ってしまったりするので、くるき亭ではいつもラフデザインの前に「コンセプト」を作っています。

今回の場合は、「海に沈んでしまった世界」で「楽しく旅をしている少女」をコンセプトにしました。
別に悲壮感漂う感じではなくて、沈んでしまった経緯も知らないし、その世界をただ楽しんでいる・・・という感じです。
そして、「自分の船をモチーフに時計を自作した」という設定にして、これに沿って、デザインをしていくことにしました。

新しい技術も一緒に:「半球レンズ」「レンズのはめかた」「着せ替えベルト」等々

新しい技術も一緒に:「半球レンズ」「レンズのはめかた」「着せ替えベルト」等々

くるき亭が、ある時計をリニューアルする時というのは、「できることが増えてきた」ということが理由であることも多いです。
「あれができるようになった」「これができるようになった」から、「それらを組み込んで、今ある時計を作りたい」という感じです。

この時は、裏蓋の方式を変更したかったのと、新しい文字盤の制作方法を試したい、着せ替えベルトにしたい、という点が技術面での改善点でした。

それと同時に、前回の半球レンズの時計の気に入らなかった点というか、「もっとこうした方が良かったのに・・・」という点である「半球レンズがあまり目立たない」ということも改善しようと考えました。

前回の半球レンズの時計は、レンズを下から固定するタイプであったのと、時計本体に取っ手(革と本体をつなぐ部品)があったため、「半球レンズ」があまり目立ちませんでした。

ただ、半球レンズは、裾に行くに従って、歪みが目立ちはじめてしまうので、レンズを本体の上に乗せる方法だと歪みがかなり目立ってしまいます。
「どうしようかな・・・」と迷い、色々試した末に、レンズのマチを広く取るなどの工夫をし、「できそうだな」という結論に達しました。

Rough design :時計のラフデザイン

いよいよラフデザインの開始:作りたい時計の大体をデザインします。

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コンセプト・テーマが決まり、使う技術を決めたら、それらを取り入れて、いよいよラフデザインをしていきます。

この「ラフデザイン」が皆さんが考える「デザイン」に近いかもしれません。
作る時計の「全体像」を決めていきます。

あまりこの通りには行かないのですが、これを描かないと始まらない・・・という工程です。
一番楽しい工程かもしれません。

全体のテーマから導いた、各パーツのデザインのテーマとしては、

時計本体:船室の窓をテーマにする。
カラー:一日の移り変わりをテーマに、ムラのある塗装で、船に映る日の光を表現する
文字盤:方位盤をモチーフにし、立体感をつける仕上げを取り入れる。
レンズ:半球レンズと本体の付け方を逆にして半球レンズを目立たせる。
裏蓋:時計本体だけが浮き出るようなデザインにしたかったので、ベルトを通すカタチに変更。同時に「ベルトの着せ替え」を実現。塗装とネジ止め。
革ベルト:手縫いで、船のマストのようなデザインにする。両面銀面。

という方針が決定しました。
それを踏まえて、ラフなカタチを何案か描いていきます。

先述したテーマパークの船室の窓などの原案から、船室の資料や窓の資料などを調べたり、テーマの絵を描き進んでデザインしたり・・・といろいろな角度からラフ案を描きます。

Design :時計のデザイン・設計

「紙に描く」のと「モノを作る」というのは全く違う・・・

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「モノをデザインして作った」ということがある方は分かると思うのですが、「紙に描く」のと「モノを作る」というのは全く違います

紙に描いてある時に許されている「あいまいさ」が、実際に作ることを念頭にデザインすると許されません。
どんなに細かく描いたつもりでも、あいまいなところが絶対にありますし、描けていないところは必ずあったり、実際にはそのまま作れません。
時計を作っている私たちが気をつけて描いていても、「あれっ」と思うところは必ずあります。

そして、大体、そういうあいまいなところが良かったりするので、紙に描いてある時にあった「いいなあ・・・」というデザインが、実際に設計図などに起こしてみたりすると、「あれっ、良くない・・・」ということはすごく多いです。

そういった時は、紙に描いた時の「いいなあ」が、どこから生まれているのか?を探りながら、また、「こっちの方がいい!」というアイデアも取り入れながら、「モノを作るためのデザイン」をしていきます。

また、ラフデザインの時は、なるべく「動くかどうか考えない」ということも意識しています。

デザインが縮こまってしまいますし、また、例え、どんなに細かく細部まで紙の上で描いてあっても、素材や、厚さや薄さや、内部の構造も関係ないので、現実に不可能な時計も簡単に描けてしまいますので、ここはあえて、ラフデザインでは考えず、この「デザイン」の時に、「なるべくラフデザインの印象を壊さずに、動く設計をする」ということを頑張ります。

Parts Making :時計のパーツ・部品の制作

デザインが決まったら、それを元にして、パーツを作っていかなくてはいけません。

半球レンズの制作

半球レンズ

やはりNamiといえば、半球レンズです。というより、制作の動機が半球レンズなので、まずは、半球レンズを作らなくてはいけません。
実は、それまで半球レンズは、くるき亭で手作りしていたのですが、Namiの制作にあたって、ふと立ち止まり、「レンズの専門業者を回って作ってもらおうか?」という話が持ち上がりました。
専門業者なら、「より安く」「ハンドメイドでは扱えない強い素材」「私たちでは知らないような知識がある」などが可能かもしれません。
ということで、その日から、レンズの試作品を持って、様々な業者を周りました。
どの業者も、やはり、「半球レンズの時計」というのは誰でも思いつく一般的なデザインということもあり、半球レンズ自体は作ったことがありましたし、私たちが見に行ったその場で「注文が入っているんだよね」と作っているところもありました。

しかし、やはり、「重い(時計自体が重かったりしないと支えられない、ベルトが革だと支えられない)」「値段が高い(私たちが作る数倍以上)」ということが分かり、また、試作品を見せると、「これ、どうやってやったの?」「すごくキレイに作ってあるね」と褒められたこともあり、「やっぱり、自分たちで作ろう」という結論に達しました。
ただ、話を聞く中で、「半球レンズの時計は売れないんだよね。」という話も聞き、「だから、あんまり見かけないんだなあ・・・」と妙にしんみりしたのを覚えています。

自分たちで作ることが決定したので、逆に言うと、様々な工夫や調整が可能になりました。
今回のテーマのひとつでもある「半球レンズをもっと目立たせる」ために「レンズの付け方を変更する」ということを実現するため、色々と試しながら、レンズを作っていくことになりました。

「船の一日の移り変わり」がテーマの時計本体カラー

「船の一日の移り変わり」がテーマの時計本体カラー

「船の一日の移り変わり」をテーマにカラーバリエーションを作ろうと思っていたのですが、なかなかいい感じの色にならず、困りました。
塗装やメッキでは「船の色」になってしまいますので、ぼんやりとした感じが出ません。

色々と試し、強度も実験したりした結果、下地を塗装にして、手塗りを加えることで、船に映る陽の光のようなムラのある雰囲気に仕上げることができ、今回のカラーリングが実現しました。
と、あっさり書いてしまいましたが、結構、大変でした・・・。

立体加工の方位盤モチーフの文字盤

立体加工の方位盤モチーフの文字盤

金属以外で、立体加工ができるようになったのも、この頃だったと思います。今は、立体加工がほとんどになり、普通になってしまったのですが、最初にこのNamiの文字盤の出来上がりを見た時は、「おおー」とみんなで興奮したのを覚えています。
デザインは「船」ということで、そのまんまという感じで、「方位盤」となったのですが、より精密に描けるようにもなったので、出来上がった時は嬉しかった記憶があります。

船のマストをモチーフにした、着せ替え可能な「本革手縫いベルト」

船のマストをモチーフにした本革手縫いベルト

今回は「着せ替えにしよう」と決めていたのですが、普通の革ベルトだと「少しベルトのインパクトが弱く」見えることもあり、また、コンセプトも革ベルトまでビシっと通っていた方が楽しいので、デザインを考えました。

「船のマスト」のようにグルグル巻いてあるようにしようとコンセプトは決まっていたのですが、縫い方を色々と試しながら試行錯誤した結果、今のデザインに決まりました。

Assembling :時計の組み立て

パーツが出来上がったら、時計の組み立てです。

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こうやって経緯を書いていると随分長いのですが、実際は数ヶ月〜2年くらいの間でここまで来ますので、チョコチョコ進んでいる感じです。
パーツの試作品をやり直したり、デザインし直したり・・・なども当然あって、「なかなか出来ないな」ともどかしくなることもあります。

しかし、パーツが出来上がれば、あとは組み立てるだけです。

時々、この段階で、「組み立てられない!」とか「時計が動かない!」というようなこともあるのですが、この頃になるとだいぶ減ってきました。

ただ、このNamiの場合、半球レンズの調整(マチの広さなど)には少し苦労しました。
しかし、「当初のラフデザインの時に考えていた時計がそのままできあがってきた!」という会心の出来でした。

Photo shooting :写真撮影

半球レンズの時計の写真は撮影が本当に難しい・・・

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Namiをはじめ、半球レンズの時計というのは、本当に写真撮影が難しい・・・。
そもそも「時計は撮影が難しい」ということが知られているのですが、半球レンズはさらに難しい・・・。

雑誌などで取り上げて頂く際、プロのカメラマンでも、半球レンズの時計の撮影が難しい・・・ということになって、私たちが撮影した画像を提供する・・・というようなこともあるほどです。

Namiだけではないのですが、半球レンズの時計は、毎回、四苦八苦しながら撮影しています。

Release :発売〜今まで

販売後の反響・コラボレーション・リニューアル・派生商品

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この「Nami」という時計は、単純に「次は、海をテーマに、半球レンズの時計を作ろう」とはじまったのですが、発売から、様々な反響がありました。
「前の方が良かった」という声もあれば、「圧倒的に良くなった」という声もありました。
その後も映画ドラマに使われたり、使われそうになったり・・・、あるアニメのモノやゲームのアイテムに似ていると言われたり・・・。
結局、ボツになりましたが、そのアニメのグッズ制作の人からコラボレーションの話を頂いたり・・・。

その後も「Nami」は何度かリニューアルを繰り返しました。
主に、品質の改善が多かったですが、どんどんと良くなってきていると思います。

コラボレーションといえば、映画「ダブリンの時計職人」さんとコラボレーションもしました。
あの時計は、映画の方のリクエストで「Nami」がベースになっています。

また、派生商品もたくさん生まれました。

Namiがスタートになった「NamiRevo」や「Namirevoバングル」等などの派生商品も出て、なんだかリニューアルしづらい雰囲気になってしまっていますが、 また、いつか半球レンズの新しい時計を作りたいなとは思っています。

「Nami」シリーズの後継である「mocoboat」シリーズをオンラインストアで見る デザイン帳に戻る