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人工惑星nico

「人工惑星nico」シリーズ

売れる売れないは別として、「好きなカタチの腕時計を自由に作ってみたい!」と作り始めたものの、技術的に「大変だったな・・・」という思い出がある腕時計です。
ただ、やっぱり、出来上がってみると、「おおー!」ということになって、すっかりと味をしめてしまって、そういった時計、つまり、「好き勝手に作った時計」をその後も次々と作ってしまうきっかけになった時計でもあります。

Planning :この時計の着想・企画・構想

この腕時計のはじまりは、自分たちへのジレンマから

人工惑星nico

やはり、私たちも、発表した時計が売れると嬉しいし、そんな時計ばかりを作りたくなってしまいます。

そして、やっぱり、「売れる時計」というのは、「普通の時計」に近いので、どうしても、私たちも普通の時計ばかりを作ってしまう・・・という傾向が見えてきました。

また、確か、その頃はまだ、ほんの一部ですが、一般のお店での販売(卸販売)も残っていました。
当たり前ですが、販売店の方は、私たちのデザインや存在意義をそれほど重く考えませんし、そのお店のスタッフが説明できないものは困る・・・等々の事情もあり、求められるのは、色々な意味で「あんまり販売するのが難しくない時計」=「普通の時計」もしくは「前回、売れた時計」ということになります。
そんなことも、私たちの「普通の時計」傾向に拍車をかけていたと思います。

あとあまり大きな声ではいえないのですが、やっぱり、新しい時計を作るのは、お金が結構かかります。
特に奇抜なものであればあるほど、お金が掛かります。
それで「全く売れない」となると・・・、なかなか勇気が出ないということもありました。

ただ、せっかく、私たちは「見た目が同じような時計が多いから、違う時計を作ろう!」とはじめたのですから、「このままでいいのか?」ということはよく話に上っていました。
似たような時計ばかりを作っても、自分たちもつまらないですし、「それじゃ、好き勝手に作ってみよう!」と決めた・・・というのが、そもそものこの時計のはじまりだったと思います。

いくつかのアイデアから「どれを作る?」ということになって、「普通の時計とは全く違うもの」というのはもちろん、全く売れなかった時の保険に「少しでも何か身につけよう」と思ったのか、「技術的に新しいことが入っていること」も条件に入れて選んだ結果、この「人工惑星nico」という時計の制作をすることになりました。

Rough design :時計のラフデザイン

ラフデザインは「ストーリー」から

時計のラフデザイン

「さあ、変わった時計を、好き勝手に作るぞ!」と意気込んでも、ピタッとデザインをする手が止まってしまうのはよくあること。
そして、その結果、「ツギハギだらけのデザイン」「変なことをしようとした結果、訳の分からないデザイン」になってしまいそうになることはよくあります。
その結果、できたデザインが傑作だった・・・ということもあるのだと思いますが、くるき亭ではあんまり「しない」方がいいと思っています。

ですので、くるき亭では、こういったことに陥らないように、はじめに「ストーリー」とか「テーマ」とか「人」を決めてから、デザインをはじめていきます。
迷った時に「ストーリーに則っているかな?」と戻れるように、です。

今回は「好き勝手に」ということだったので、余計にしっかりとテーマを考えよう、ということになりました。

「ストーリー」が独り歩き・・・

「ストーリー」が独り歩き・・・

この「人工惑星nico」というのは、「nico」というヤツ(人間じゃない)がいて、そいつが宇宙を「どこか落ち着けるところがないかな・・・」と徘徊していて、「おっ、ここにしようかな」ということで、その星を改造して、自分で自分が暮らす用の惑星を作った・・・という惑星です(フィクションです)。

ということで、徘徊していた時の宇宙船(飛行機)もあれば、給油もでき、食料も育てて、お手伝いロボットもいる・・・という惑星です。
そして、それは実に小さい、直径2.5センチほどであり、その等身大の惑星を腕時計にする・・・というコンセプトでした。

「これでは暮らせない」とか、そんなやり取りをしつつ、惑星の図面も書きつつ、ラフデザインをしていきました。
しかし、だんだんと時計を忘れはじめて、惑星の図面やストーリーが独り歩きしていき、時計のラフデザインにはなかなか戻ってきませんでした。
でも、本当に楽しかったです。

いよいよ時計のラフデザインへ

いよいよ時計のラフデザインへ

ただ、それが良かったのか、「そろそろ時計をデザインしよう」となった時に、意外と非常にスムーズに進みました。

デザイン自体がスムーズだっただけではなく、例えば、「ここをヌキ(空洞)にするのは難しい」「これは時計が動かないんじゃ・・・」というようなことが起きた時に、「いや、もう図面でそうなっているから、仕方ない」というように、あきらめそうなところを「頑張り通す」という効果もありました。

あとから考えると、この「時計にする時に最初のテーマをあきらめない」ということをいつも以上に徹底したことだけでも、この「nico」という時計を作った意義があったかもしれないと思っています。

Design :時計のデザイン・設計

デザインをする前に決めたこと、そして、各パーツのデザイン

人工惑星nicoの腕時計

さて、ラフデザインが出来たので、今度は実際にモノづくり用に、細部までしっかりとデザインしていかなくてはいけません。

こういった変わったデザインでよく起きそうになるのは、「当初考えていたデザインから離れてしまう」ということです。
「ラフデザインではこう描いたのだけど、技術的に難しいから、こういうふうにしよう」というように妥協してしまいそうになることはよくあります。
nicoは細かい上に、小さいので、いつも以上に心が折れることは予想されました。

しかし、今回の時計の目的は「自分たちが作りたい時計を作る」ということです。
そこで、「最初のラフが再現できない場合はやめる」ということを決めました。

各パーツのデザインで気をつけるべき点としては、主に、

文字盤:この時計、実は、文字盤が斜めなんです。しかも下向きの斜め。これが初挑戦にして、想定上では最難関でした。
裏蓋:文字盤が斜めなのに、裏蓋はまっすぐ。どうやって、時計を固定するのか? それに、本体が球形なので裏蓋と本体を留めるネジを長くする必要があるのにネジ穴が3つしか開けられない。この2つの難問をクリアしなくてはいけません。
時計本体:小さい上に、とにかく細かいので、細工が大変。心折れないこと。
カラー:惑星で色分けってなんだろう?と考えた結果、「惑星nico」の1日を表現しようと決めました。
レンズ:フラットにする。カーブも考えたのですが、時計が小さいので文字盤が全く見えなくなってしまいました。

という感じだったと思います。

Parts Making :時計のパーツ・部品の制作

時計のパーツ・部品の制作

やはりというか、パーツ制作はかなり大変だったのを覚えています。

文字盤:
とにかく、「斜めに設置する」というのがはじめての経験でした。
しかも下向きなのと、裏蓋はまっすぐという矛盾から、内部を細部までカチッと設計しないと、時計が動かなくなってしまいます。
今となっては試行錯誤の細部を思い出せず、「何か大変だったな・・・」という思い出だけになってしまっていますが、とにかく成功しました。

裏蓋:
「文字盤が斜めで、裏蓋はまっすぐ。ちゃんと動作するにはどうしたらいいか?」「本体が球形なので、ネジが長くなる」「裏蓋のスペースがなくネジ穴が3つしか設置できない」ということを解決しなくてはいけません。
実験を繰り返して、「動作」の問題はクリアし、ネジの長さとネジ穴もクリアしましたが、「革ベルトをつなぎとめるには、少し強度が不安」ということになりました。
そこで、時計と革ベルトをつなぐ役目は本体に任せることになりました。

時計本体:
裏蓋から「革ベルトをつなぐ役目」を任された時計本体ですが、取っ手を設置してしまったら、「惑星」には見えなくなってしまいます。
色々と考えた末に、「山」と「見張り台」を設置することにし、取っ手を接続することにしました。

また、「惑星」というと、少しデコボコしている印象があると思いますが、普通に制作すると、ツルッとした印象になってしまいます。
そこでロボットの通り道を設置することになりました。

こうして時計本体パーツの制作を行ったのですが、後述する通り、「この子がいない事件」や「勝手に登場するヤツ事件」や「給油チューブが折れる事件」などがあって、何度も制作し直すことになりました。

ベルト金具:
ベルトを腕に通してとめる金具もnicoオリジナルにしようと思って、ロボットにすることにしました。
しかし、これが折れてしまったり、色々あって、何度も作り直すハメになりました。

Assembling :時計の組み立て

やり直しの連続だった組み立て:「あの子がいない」「勝手にいる!」

人工惑星nicoの組み立て

パーツが出来上がって、はじめて組み立てる時というのは、ビクビクするもので、いつも「やっぱりな」とか「簡単にはいかないな・・・」と思うものです。
当初の設計通りにパーツが出来ても、どこかに齟齬があったり、思ってもみなかった計算違いがあったりして、「やり直し」ということはしょっちゅうあります。

nicoもあんまりうまくいかなくて、やり直しが続いた結果、確か、最初のパーツ制作から最初の時計誕生まで、6ヶ月〜1年位かかったような気がします。

例えば、時計本体ができあがって、「いざ、組み立て」ということになり、色をつけていると、この段階になって「あれっ、この子がいない」と気づいたり。
また、制作側で、本体の構造上、必要だったのか、できあがってみると、「デザインにいないヤツがいる」つまり「勝手なデザインが増えている」なんてこともあり、「それなら、この部分もデザインし直す!」とデザイン側が制作側に突き返すなんてこともありました。

さらに完成後も、「給油チューブが折れる」ということがあり、作り直したり・・・を繰り返しました。

それだけでなく、「革ベルトを付けてから裏蓋をいれないと閉まらない」というようなことが発覚したりして、作り直しを余儀なくされたり・・・、色々ありました。

Release :発売〜今まで

あまり販売面ではよくないけれども、私たちのお気に入りの時計に。

販売面ではあまり良くないけれども、私たちのお気に入りの時計に。

さて、ここまでして発売開始した「人工惑星nico」ですが、やはりというか、当然というか、反響は大きかったものの、あまり販売面ではよくありませんでした。

ただ、私たちの中ではお気に入りの時計になりましたし、お買上げ頂くお客さんがいると「同志」のような気持ちになります。
今でもWEBサイトではトップに近いところに使ってしまいますし、メディアの方から「何かオススメの作品は?」なんて言われると、必ず入れてしまいます。
とても思い出深い、そして、気に入っている腕時計です。

あと、2017年現在では未発表ですが、映画に使われる予定もあり、その時に私たちも好きなアーティストの方が着けられるというのも聞いたので、それも楽しみです。

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